ネタバレ注意!:映画「 ジョン・ウィック4 」に登場する銃器を解説
2014年(日本では2015年)に公開されるや否や、たちまちサバゲーマー御用達となった映画「ジョン・ウィック」。その最新作となる「 ジョン・ウィック4 コンセクエンス」(原題:John Wick: Chapter 4)が2023年9月22日より日本でも遂に公開となった。
ジョン・ウィックと言えば、キアヌ・リーヴスやゲスト俳優による華麗なガン・アクションや、装弾数すら計算されたリアリティ志向の演出が見どころであるが、サバゲーマーにハマった理由は更にもう1つ、劇中に様々な銃器が登場することが挙げられるだろう。
ジョン・ウィック:チャプター2からはTTI(タラン・タクティカル)などビルダー系の銃器も使用され、シリーズで使われたモデルがサバゲー業界においてもエアガン新商品にラインナップされるなど、この10年間でサバゲーに与えた影響は非常に大きい。
そんなジョン・ウィックの最新作、コンセクエンスでは一体どんな銃器が登場するのか?早速チェックしてみよう。
※本記事では「 ジョン・ウィック4 」のネタバレがかなり含まれます。映画をまだご覧になっていない方は鑑賞後にお読みください。
※本記事はimfdb(Internet Movie Firearms Database)の情報・画像を参考に制作しております。
ジョン・ウィック4 メインキャラクターの銃器
TTI Pit Viper
タラン・タクティカル・イノベーションズ:ピット・バイパー
本作で主人公ジョン・ウィックの相棒となるメインのハンドガン。ジョン・ウィック:チャプター2では武器ソムリエなども登場し、ハンドガンに限らずライフルやショットガンまで説明を受けるシーンがあったが、主席連合から追われる身となりコンチネンタルホテルも利用できない今作においては唯一、名称とスペックについて劇中で語られた銃だ。
シリーズを通して、多勢に無勢でボロボロになるジョン・ウィックにとって、ハンドガンは拾い物で充分と次々に敵の武器に取り換えていくのが定石であるが、今作についてはピット・バイパーを落としてしまうとわざわざ拾いに行くシーンが描かれるなど、ただのハンドガンではないという扱われ方となっている。
おそらく、撮影用の銃器提供だけでなく、キアヌにとってリアリティのある射撃フォームや所作についてタクトレの師となったタラン・バトラーへの敬意を劇中で示したのではないかと筆者は推測する。(最終的には分解して近接武器化するが…)
エアガンとしては既に複数のメーカーからTTIライセンス品が発売され、2023年1番の売れ筋ガスブロとなっている。
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GLOCK G34 TTI Combat Master Package
タラン・タクティカル・イノベーションズ:グロック G34 TTI コンバットマスター・パッケージ
チャプター2で登場したグロック34のコンバットマスターが今作でも登場。冒頭の砂漠から大阪コンチネンタルまでの登場となるが、ジョン・ウィックといえばコレ!という代名詞的なハンドガンだ。映画の成功と共に日本でもTTIの知名度を上げた立役者である。
チャプター2ではGen3ベースであったが、コンセクエンスではGen5 MOSがベースとなっている。長いスライド、グリップを強調するマグウェル、装弾数を増やすマガジンベースパッドと、その存在感の大きさは健在だ。
エアガンでは2023年春にGHKベースのG34コンバットマスターが登場し話題に。Gen3仕様ではあるものの、ハンマーレスであるGHKベースにロングスライドのG34はうってつけで、軽快な動作性が話題となった。
UMAREX/GHK G34 TTI Combat Masterの記事
SIG SAUER P365 SAS
シグ・ザウエル:P365 SAS
コンセクエンス第2の主人公ともいえるケインが使用するハンドガン。シグはハンドガンの名称にPと3桁の数字を用いいるが、P365については身を守るコンシールドキャリーとして365日毎日携行するという意味が込められている。2018~2019年にかけ、アメリカ合衆国で最も売れたピストルとして記録を持っているポピュラーなモデルだが、ケインはSASモデルにコンペンセイターとレールアダプターを装着して使用している。
P365 SASはSIG Anti-Snagという衣服やホルスターへの引っ掛かりを少なくする設計特性が盛り込まれており、スライドリリースレバーの薄型化、テイクダウンレバーの小型化、角がなくFTブルズアイサイトが埋め込まれたスライドなど、咄嗟の操作が重要となるホームディフェンス向けのハンドガンだ。
殺し屋が使用するハンドガンとしてもコンシールドキャリーは暗殺に最適であるとは思うが、ジョン・ウィックではそんな静かなシーンはほとんどない。目が見えず、剣を多用するケインというキャラクターだからこそ似合うハンドガンと言えそうだ。
エアガンではSIG AIRがノーマルのP365ガスブローバックをリリースしてはいるものの、日本向け仕様が存在しないため入手困難なモデルである。スライド上に突起物がないP365 SASのデザインは非常にクールでカッコいいだけに、日本仕様も含めたエアソフトへのモデルアップに期待したいところだが…。
Marlin Firearms MODEL 1894 Custom
マーリン:モデル1894 カスタム
自らを「誰でもない男」と名乗り、愛犬と共にジョン・ウィックを執拗に追跡するトラッカーが使用するレバーアクションライフル。グリップまで伸びるレバーを操作することで次弾装填する旧式ライフルながら未だに一定層のファンを持ち、ルガー傘下となったMarlinは現在でもレバーアクションの生産を続ける数少ないメーカーの1つである。
MODEL 1894はその名の通り、西部開拓時代の1894年に登場した強力なマグナム弾に対応したモデルで、劇中に登場するのは現代版1894として2020年にリリースされた1894 Darkをベースに、レバーアクションを専門とするMAD PIG CUSTOMSによってカスタムされている。
MIDWEST INDUSTRIESのMarlin M-LOKハンドガード、SilencerCoのASR 3ポートマズルブレーキ及びOctane45サイレンサー、XS SIGHTSのトップレール(映画専用品)、Slate Black Industriesのスレートパネルとスレートストップが装着されるほか、WILD WEST GUNSによってテイクダウン機構が実装されている。
劇中においてもトラッカーがバックパックから取り出したMODEL 1894を組み立てるシーンがあるが、本来レバーアクションは分解式のライフルではないため大幅なカスタムが施されていることがわかる。製作にあたったMAD PIG CUSTOMSはこのMODEL 1894 Customをトラッカーパッケージとして販売予定とのことだ。
エアソフトにおいてはレバーアクションはカテゴリとして少々マニアックであるが、ガス式モデルが製造されてはいる。果たして、トラッカー1894がエアガンとして登場することはあるのか?!
Thompson/Center Arms Encore
トンプソン/センター・アームズ:アンコール・プロハンター・ピストル
ジョン・ウィックとケインが寺院の前で決闘する際に使われる単発銃。映画用にエングレービングが施され銃身を短くカスタムされておりクラシックピストルのようにも見えるが、実際は現在でも競技やハンティングで用いられるシングルショット・ピストルだ。装填を手で行うシンプルな構造のため命中精度が高い。
また、ピストルとはいえライフル弾や大口径マグナム弾に対応し時には大型獣を仕留めることにも使われ、おおよそ人間に向けて撃つようなピストルではない。こういった変わりダネを引っ張ってくるあたり、製作陣の変態っぷりが伝わるチョイスだ。
Webley .455 Mk VI
Walther P38
Colt M1911A1
旧式ピストルの名前を一気に3つ挙げたが、ジョン・ウィック・シリーズのファンであればクスッとした方も多いであろうコメディ・シーンで登場した銃たちだ。ジョンがベルリンで古巣ルスカ・ロマの教会に入る際に預けた銃だが「そんな銃使ってねぇだろ!(笑)」と声を出してツッコミを入れたかったアナタは立派なオタクだ!
サブキャラクターやモブキャラクターの銃
GLOCK G17 G17L G34 G19
グロック:G17 G17L G34 G19
劇中で登場する回数で言えば、最も活躍したのはグロック17だろう。大阪コンチネンタル支配人のシマヅや主席連合が派遣した部隊の執行官、パリで襲い掛かる暗殺者たちなど数々のキャラクターが使用しているほか、ジョン・ウィックも戦闘の中で敵から奪い幾度となく使用している。
グロックはG17Gen3、G17Gen5以外にもG17LやG34など登場する種類が豊富。またグラモン侯爵の腹心でジョンを追い込んでいくチディはエージェンシー・アームズのG17を、一部の執行官も別スライドのエージェンシー・アームズを使用しているようで、ジョン・ウィックがその個体を撃つシーンも見られる。
さらにはSTATEMENT DEFENSEが映画用に製作したカスタムスライドと、80 Percent Arms のGST-9フレーム及びビレットグリップに換装したG19をトラッカーがDevcore PCB(プレート キャリア バックパック)から抜いて使用するシーンもあり、グロックはジョン・ウィックにおいてはなくてはならない存在となっている。
Smith & Wesson MODEL 500 4″
スミス&ウェッソン:M500 4インチ
主席連合のメンバーでありクラブ「天国と地獄」のオーナーでもある“動ける巨漢”こと、キーラ・ハルカンがポーカーテーブルでジョン・ウィックに向ける巨大なリボルバー。世界最強のマグナム弾と言われる.500S&W弾とセットで開発されたピストルで、S&Wがアメリカ最大級の銃器メーカーとして返り咲くきっかけとなった立役者でもある。
そもそもピストルでは制御しきれない高威力弾であるうえ、ハルカンが手にしていたのは4インチモデルでリコイルが非常に大きく、とても実用的とは言い難い。さすがにあの距離であればジョンに当てることは可能かもしれないが、あんなにラフに構えていたら射撃後のキーラ本人へのダメージも心配だ。あの巨漢であれば平気なのかもしれないが…。
ちなみにキーラ・ハルカンを演じたスコット・アドキンスは武術家でもある俳優で、実際の体形は筋肉質でスマート。撮影には巨大な肉襦袢と特殊メイクを経て臨んでいる。
S&W M500はエアガンやモデルガンではリボルバーを得意とするタナカワークスのXフレームシリーズが有名で、バレルの違いやパフォーマンスセンター(S&Wのハイエンドカスタム)などモデルも豊富だ。
CZ P-10 C
チェスカー・ズブロヨフカ:P-10 コンパクト
「天国と地獄」でキーラ・ハルカンの手下が携行し、ジョン・ウィックが奪取してクラブ内で使用するハンドガン。結局のところジョンはキーラと肉弾戦を繰り広げることになるし、残りの手下はケインによって一掃されてしまうためあまり活躍の場はないが、事態に気づかず踊る群衆の中をジョンがP-10 Cを構えながら通り抜けていくシーンは非常に印象的だ。
CZは日本のエアソフト業界ではマイナーに入る部類のメーカーだが、実銃で言えば信頼性と性能の高さからCZを選択するシューターも多く、特にハンドガンにおいては極めてメジャーな存在だ。チェコ版グロックなどと揶揄されつつも、現代的な構造とCZならではの人間工学を取り入れたP-10シリーズはコスト面でも優れ、今後CZがポリマーフレームオートのゲームチェンジャーとなる可能性を秘めたモデルと言えるだろう。
エアガンではCZ正式ライセンスのCO2ガスブローバックがASGより発売されている。
TTI Dracarys Gen-12
タラン・タクティカル・イノベーション:ドラカリス Gen12 ショットガン
ジョン・ウィックを狙うパリの賞金稼ぎ達が持ち出したショットガンで、防弾スーツを身にまとうジョンにショットガン用焼夷弾「ドラゴンブレス」をお見舞いするために使用した。結局、ドラカリス Gen12はジョンに奪われ逆に賞金稼ぎ達が火だるまになるのだが…。
最後の決闘の舞台となるサクレ・クール寺院へ向かう道中、空き家となったアパート内で真上からの視点という斬新な銃撃戦シーンにおいて華を添えた。
モデル名の「Dracarys(ドラカリス)」とは、ファンタジー小説を原作にした海外テレビドラマ「ゲーム・オブ・スローンズ」でドラゴンに火を吐けと命令する言葉。まさに、ドラゴンブレス弾を撃つためのショットガンに相応しいネーミングだ。ベースはマガジン給弾式ショットガン GENESIS ARMS GEN-12 で、TTIによりHIPER FIREトリガー、KeymodハンドガードやBCMパーツに換装されている。
エアガンではまだカテゴリとしてモデルが少ないマガジン式ショットガンだが、東京マルイからSAIGA-12Kが発売され話題となるなどサバゲーにおける需要が高いことが判っている以上、目を付けるエアソフトメーカーは多いだろう。
Spike’s Tactical BILLET ST COMPRESSOR
スパイク・タクティカル:ビレットSTコンプレッサー
大阪コンチネンタルに派遣された主席連合の武装執行官がメインウェポンとしていたAR-15。特徴的なレシーバーデザインにBAR2ハンドガード、LRSサプレッサー、MAGPULパーツで構成されたアサルトライフルで、劇中ではジョン・ウィックやケインが拾って使用することもあった。
Spike’s Tacticalのレプリカパーツといえば数年前まではMADBULLなどが積極的にリリースしていたが、KeymodやM-LOKのハンドガードの登場によりスマートなAR-15が台頭している近年では、太く4面ピカティニーレールのゴツさがウリのスパイクは下火である。
BILLET ST COMPRESSORはハンドガード内にサプレッサーが入る.300BLKスタイルにも対応しており、ジョン・ウィックでの起用も併せて注目されれば、またレプリカパーツがリリースされることもあるかもしれない。
ここまで紹介してきた様に、 ジョン・ウィック4 に登場する銃器の多さはこれまでのシリーズ同様非常に多い。まだ紹介しきれていない銃器もたくさんある。
わざわざ映画のために作られたモデルもあるが、基本的には実在する銃やパーツを組み合わせたものであり、JW4の名を冠したコンプリートやカスタムパッケージとして各メーカーが販売するなど、銃業界にとって影響が大きいことが伺える。そしてその影響はもちろんエアソフト業界にとっても無視できない。
ジョン・ウィック:チャプター2をきっかけにTTIのエアガン製品が増えたように、今作で登場した銃がエアソフト業界でも注目され、プレイヤーにとって選択肢が増えることに期待せずにはいられない。